訴えの多い症状・治療例「病態説明」



 肩関節は身体の関節の中でも最も可動性のある関節です。周囲には約20種類の筋肉があり、肩の可動性はこれらがバランスよく連動することでスムーズかつ複雑な動きを可能にしています。

 特にスポーツにおいて重要な動的安定性はほぼこれらの筋肉により保たれているといえます。中でも関節の最深部にあり、肩甲骨と上腕骨頭を覆うような形で安定させる重要な役割をしているのが腱板を構成する棘上筋【きょくじょうきん】・棘下筋【きょっかきん】・小円筋【しょうえんきん】・肩甲下筋【けんこうかきん】の4つの筋肉です。この4つの筋肉は上腕骨頭の上部、大・小結節と呼ばれる部分に腱となって付き、肩関節の回旋動作に大きく関与していることから回旋筋腱板【かいせんきんけんばん】(ローテーター・カフ)と呼ばれています。
※インナーマッスルとも呼ばれます。
 腱板炎は、野球の投球、ウエートリフティング、ラケットでボールをサーブする、水泳の自由形、バタフライ、背泳ぎといったスポーツで見られます。過度な肩の動きや腕を水平より高く上げる動作の繰り返しで、腱は上腕骨の上部、肩峰【けんぽう】(肩先の骨)、靭帯などと摩擦されたり、動作時に強く引き伸ばされるため微細な損傷や腫れが生じやすくなります。この炎症により徐々に痛みが出現したものです。

 特に棘上筋腱は
※烏口肩峰アーチ【うこうけんぽうあーち】の問題で物理的、構造的に最も障害を受けやすいようです。このように原因の大部分はこれら腱の変性によるものですが、痛みを我慢してその運動を続けると腱断裂の可能性もあるので注意が必要です。原因はインナーマッスルの筋力不足、投球フォームなどの問題、ルーズショルダー(肩関節が緩い)など幾つかの要因もありますが、やはり大部分はオーバーユース(使いすぎ)によるものです。



 主に運動時の痛みで、例えば投球動作ではテークバックからフォローにかけて、テニスではサーブ時のインパクトの瞬間などに強く感じます。肩峰下(肩先の骨直下)に痛みを感じることも多く、この場合は※肩峰下滑液包炎【けんぽうかかつえきほうえん】を併発しているケースもあります。

 また急性期には夜間痛などの訴えもあり睡眠が妨げられます。進行すると少しの腕の動きでも痛みを感じ、日常生活動作にも支障をきたすことがあります。

肩関節を前面から見たところ

肩関節を後面から見たところ

仁鍼灸治療院