仁鍼灸治療院(江戸川区・葛西)は、はりきゅう・マッサージ・スポーツマッサージ・リラクゼーションの鍼灸治療院です。
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J's diary(院長日記)
スタッフからコラム(不定期)
Field of dreams〜院長日記番外編〜
〜院長日記番外編〜
石岡院長の日記です。不定期にUPしてまいります。
vol.48(2013/9/10)
 厳しい暑さに見舞われた8月もようやく終わりました。この夏、当院にも体調を崩された方が例年より多く来院されました。
 8月は「観測史上最高」の連発、文字通り「記録ずくめ」の猛暑となりました。8月12日には高知県四万十市が国内観測史上最高となる41.0度を記録したニュースは記憶に新しいところです。それもその筈、東日本(関東甲信、北陸、中部)では8月中旬の平均気温が平年比で2.4度高く、日照時間も平年の158%だったそうです。同じく西日本(近畿、中四国、九州)も平年より2.3度高く、日照時間も平年の161%といずれもこれまでの記録を大幅に塗り替えたそうです。
 また、この夏の異常気象は日本列島に様々な影響を与えました。連日テレビなどでも注意を呼びかけていた今夏の熱中症による搬送者数は8月末の時点で5万6000人を超えており、これは昨年の同時期に比べ約3割の増加を示しています。「ゲリラ雷雨・豪雨」という単語もすっかり聞き慣れてしまいましたが大雨による冠水や浸水・土砂崩れ、また目を疑うほどの強烈な竜巻は各地に深刻な被害をもたらしました。
 9月に入ってもまだまだ不安定な天候が続いています。皆様、お身体には十分ご留意ください。

 話は変わりますが、今回は我々の業界でも大きな懸念となっている「無免許・無資格者施術」の問題・現状について書いてみたいと思います。最近、新聞やTVで無資格業者の医療事故が多発している報道をよく目にすることがあります。先月5日付の某新聞には次のような記事が掲載されていました。

あばら骨折・脊髄損傷…マッサージ店「けが人」続々、背景に無資格施術

 TVのニュースでも取り上げられていましたが、昨年度、国民生活センターや全国の消費者センターに寄せられた相談件数が過去最多1265件に上ったそうです。記事ではこうした相談の半数以上が無資格施術に関するものとなっています。近年、街には実に様々な看板を掲げた店が溢れていますが、その一例を挙げてみます。
 ⇒ほぐし、もみ処、整体、タイ式マッサージ、リラクゼーション、足裏マッサージ、足裏リフレ、カイロプラクティック、耳ツボダイエットサロン、○○体操法、○○セラピー など

 また、最近ではストレッチ専門店やストレッチマッサージなる呼称も目にします。
 現在、我が国が医業類似行為の中で「国家資格」として認めているのは“あん摩マッサージ指圧師”“はり師”“きゅう師”“柔道整復師(接骨・整骨)”のみです。この記事には「整体やマッサージといった医療類似行為」という文言が出てきますが、我々「あん摩マッサージ指圧有資格者」としては、そもそも「マッサージ」という国家資格を無資格者が半ば自由に使用している現状にとても違和感を感じます。もし我々のような鍼灸マッサージ院が“病院”や“クリニック”といった名称を使ったらどうなるでしょうか。

 ここで有資格者の「資格取得」と「施術所開設」までの流れを簡単に説明したいと思います。この二点が無資格事業との大きな違いになります。
 まず「資格取得」についてです。私は、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(名称は一つですが資格は3つです)の合計5つの国家資格を持っています。これらはこの資格を取得するための専修学校(3年間)または大学(4年間)に通わなくてはなりません。ここでは主に医療のための基礎科目(解剖学・生理学・衛生学・病理学ほか)と専門科目(鍼灸マッサージ学・経絡経穴学・漢方医学・中医学・法規・診察論・リハビリテーション医学・実技実習など)を学びます。しかし無事に単位を取得し、卒業試験にパスできたとしても即有資格者という訳ではありません。その後に最大の目標である国家試験に無事合格し、晴れて資格取得となります。いわば学校は「国家試験を受ける権利を取るためのところ」という訳です。資格取得後は治療院、病院、スポーツ関係、介護施設など皆、それぞれの分野に進んでいきます。

 次に「施術所の開設」です。これは基本的に病院や薬局などの医療機関と同様で地区の保健所に申請して認可(開設届)を受けることになります。しかし、この施術所開設届を受けるには次のような要件を満たす必要があります。
(構造基準)
@ 独立した施術室や待合室をそれぞれ定められた広さで有すること。またその区画は上下左右、
固定壁で完全に区切られていること。
A 施術ベッドを2台以上設置する場合は各々カーテン等で仕切り、患者のプライバシーに配慮すること。
B 定められた広さに相当する外気開放部分を有するか、それに変わる換気設備を有すること。
(設備・人員基準)
@ 施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること。(使い捨てのハリや滅菌器)
A 衛生管理、採光・照明・換気の義務。
B 業務に対する適正かつ適切な有資格者の配置。(国家資格免許の登録制)
(名称・広告の制限)
@ 医療法・医師法に抵触する名称、または医師と紛らわしい名称の禁止。
例)×→医院、診療所、○○診療、鍼灸医など
 広告宣伝事項についてここでは割愛しますが、我々には広告できる内容にも細かな制限があります。一般的には院の名称や所在地、施術時間、電話番号、その他厚生労働大臣が指定する事項以外は掲げることができません。当然、料金や経歴(元○○、○○式)などの広告はできないのです。

 その他、施術業務に関する制限や保険診療に対するルールなど様々な制約がありますが、これらは国家有資格者ゆえ、医療機関の公序として当然の義務だと思います。しかし、いわゆる無資格事業にはこれらのルールはありません。いや、そもそも存在しないのです。普段より日々の業務で大変お世話になっている近隣の整形外科の医師がこのような話をされていました。
 「医療も含めて日本の法律は矛盾している。キッチリとルールを守ってやっている者には“これはダメ”“これはしてはいけない”と様々な制限を課すのに、無資格者にはそもそも“取り締まる法律が無い”という理由で何でもありになっている」のだと。
 無資格事業は店舗を開設するにあたって届出や許可、当然審査も無いので極端に言うと場所さえ用意できれば明日からでも業務を行なうことができます。しかし、一番の問題は医学的知識や技術に乏しい人が人の健康に関わる行為を平然と行なっている可能性が高いことです。
 ひどいものでは数回のセミナーや講義で修了証書や認定証なるものを発行し、いかにも資格かのような肩書きを与えて店をオープンさせる団体もあると聞きます。

先日も当院に来られた患者さんで“?”と思うことがありました。一件目で「椎間板ヘルニア」と説明され治療を受けたところ、痛みが増したのでこちらに来たとのことでした。てっきり私は病院に行かれたと思い、さらに詳しく聞いてみると実は整体を標榜している店とのことでした。しかもその患者さんはMRI検査どころかレントゲンすら撮ったことがないと言うのです。
現在、日本の医療制度では病名を診断・特定できるのは医師だけです。まして臨床検査や画像診断を行なわずに確定診断をすることは医師でも不可能です。無資格業者の行為は医療でも医業類似行為でもありませんからお客さん(患者)に対して医学的なアドバイス、まして病名診断などは当然出来ません。しかし、多くの無資格業者は限りなくそれに近いニュアンスで話していることが多いようです。その辺りを彼らに突っ込むと決まって「あくまでも癒し・リラクゼーションであって医療ではない」という答えが返ってきます。

鍼灸マッサージ施術のような医業類似行為には医師や医療機関との連携が不可欠です。しかし、こういった事情をよく知らない医療従事者は、我々のような治療院も無資格業者と同様に思われている方が少なくないことも残念でなりません。
 もちろん医療類似行為従事者の行なう施術が必ずしも安全で万能と言う訳ではありません。先に挙げた新聞記事には鍼灸師が行なった施術上の苦情や事故も含まれていると記載されています。例えば過度な施術による神経損傷や捻挫、灸による火傷などです。
同じ有資格者でも個人の経験値や院によっても知識や技術の差がかなりあります。中には「来なければ歩けなくなる」とか「放っておくといずれ手術になる」などと根拠のない言葉で患者の不安を煽るような施術者もいると聞きます。無資格業者対策にしても業団をあげて引き続きこの曖昧な現状を訴えていくことは大切なことです。しかし、私たち有資格者も施術には細心の注意を図り、日々技術を磨く努力を続けるとともに医療従事者としてのモラルを再認識しなければなりません。

 街中を歩いていると実に多くの接骨院や鍼灸マッサージ院、その他リラクゼーション等の店舗を目にすると思います。ではどうすれば有資格者のいる院を見分けることができるのでしょうか?なかなか一般の方には分かりにくいと思いますが、先に挙げたような看板の表記や店名などからも見分けることができます。
@ 店名に「院」という字が入っているか:例えば鍼灸院やマッサージ院、整骨院など医療関係機関でなくてはこの字は使えません。“カタカナ”や“ひらがな”のみの店名は保健所の審査に通らないからです。
※「整体院」という表記は街中でたまに見かけます。真意は分かりませんが、おそらく無届けで表記しているのだと思います。
A 金額に関する表記や肩こり・腰痛・頭痛・膝痛etc…などが目立つように多く出ている:これも通常は広告制限で表記できない項目です。
B 保険診療が取扱えない:無資格業者は公的な保険を取扱うことはできません。但し、鍼灸マッサージ院などはあえて保険を扱わず自費のみで行なっているところもありますのでこの限りではありません。
 また「厚生労働大臣免許」の表記があるかということがあります。平成20年7月に法第7条第1項第1号に含まれる表現として「厚生労働大臣免許」の文言が広告できることになりました。業団は各院に対して表記を勧めていますがまだまだ少ないのが現状です。(当院は表記しています)

しかし、いわゆる無資格業者の店舗も捉えようによってはメリットも数多くあるでしょう。施術料が比較的安価であったり、気軽に受けられる、内装や雰囲気がオシャレであるetc…。また最近はショッピングモールや駅などにもあって利便性が高いということもあるかも知れません。しかし、同じくデメリットもあります。人の身体に触れる以上、健康を害するかもしれないリスクは必ず存在します。
医療(行為)は万能万全ではありません。そのため、我々のような施術所では必ず賠償保険に加入しています。(医療機関も当然加入しています)医療事故や医療ミスは決してあってはならないことですが、それを限りなく”0”にする努力は出来ても残念ながら全くの”0”にすることは出来ません。もしもの時、万が一に備えて準備をしている訳ですがそれは患者さんに対する最低限の責任だと思うのです。当然、無資格業者ではこれらの備えをしている所はほぼ無いと思います。不運にも事故があった場合、いわゆる「泣き寝入り」となる事例が多いようです。身体の構造や医学的知識に乏しい者が施術を行なえばそのリスクは当然高くなります。

※話は少し逸れますが「カイロプラクティック」などは日本では資格として認められていませんが、米国では正式に医療資格として認可されています。米国でしっかりと技術を学び日本で開業している方も数多くいます。そのような方にとっては未熟な施術者が引き起こす事故を同じ技術として括られてしまうのは良い迷惑かも知れません。

 長々と説明してきましたが、最終的にどこを施術の場として選択するかは本人の自由という部分もあるでしょう。しかし、そこには自己責任という側面があることも忘れてはいけません。ご自身の健康や身体に関わることですから、ぜひ正しい知識のもとに賢明な選択をしてもらいたいと思います。また、我々有資格者はひとり一人の患者さんにいま何が必要かを最優先に考え、より安全に効果のある施術を受けてもらうため、これらの問題に対して自らの襟を正し取り組んでいかなければなりません。
平成25年9月10日
仁鍼灸治療院 院長 石岡俊祐
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