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肝は、性格・感情との関連が深く、五臓の中ではストレスの影響を受けやすい臓腑です。
そのため働きが不安定になると、以下のような症状が現れてきます。
【働きが過剰なとき】 イライラしやすい・怒りっぽくなる
【働きが低下したとき】 気分が落ち込みやすく
イライラ状態が続いてくると身体は興奮状態になります。これは、自律神経の交感神経(からだを興奮させる神経)が優位な状態です。交感神経優位の状態が続くと、副交感神経(リラックスする神経)への切り替えが上手くいかなくなるため、寝つきが悪い・夜中または朝早くに目が覚めてしまうといった不眠症状を引き起こす要因の一つになります。
こうした症状は、こころの不調が身体に反映されているときです。しかし、こうした不調を自分で気づくことは少なく、あまり気にしないか、溜め込んでしまう方が多いように思います。
このくらい誰でもあること…と思わずに、イライラすることが続く時は、無理をせずに少し休息を入れてあげるといいでしょう。スポーツや趣味で気分転換をしたり、マッサージなどでからだと心をリラックスさせてあげることもオススメです。 |
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心(しん)は、意識や思考など精神面と深く関係のある臓腑で、働きが正常であれば、気持ちも安定し、意識・思考力もしっかりとしています。
しかし、心労や考えすぎなどで心の働きが弱まると、気持ちが不安定になり不安感が強まりますし、身体面に影響すると、不眠症状の引き金となり、次のような特徴的症状が現れてきます。
・夢をよくみる ・なかなか寝付けない ・昼間に眠たくなる
この時に、“眠らなきゃ”という意識が強すぎると、それが逆にプレッシャーとなってしまい、更に眠りにくくなってしまうため、無理に寝ようとせず、リラックスした気持ちで横になりましょう。こうしているだけでも身体は休まっているので、眠れないからといってあまり気に病まなくても大丈夫です。 |
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脾(ひ)は、思考・思慮と深く関係している臓腑です。“思考・思慮”とは、自分の意志で考えることができる力のことで、脾の働きが正常であれば、物事をしっかりと捉えて深く考えられることができます。しかし、必要以上に考えすぎたりすると、精神的に疲れてきてしまい、脾の働きを弱めてしまいます。これは身体面にも悪影響を及ぼし、食欲不振やお腹のハリ・めまいなどが引き起こされます。
あれこれ考えすぎてしまうことは、心身にとって良いものではありません。時には、買い物や映画などに行くなどして、一息つくのもいいのではないでしょうか。考える対象から離れることが、返って気分転換となり、頭の切り替えが上手くできたりします。 |
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肺は、悲(悲しみ)と憂(憂鬱で気持ちが沈む)の2つの感情と繋がりがある臓腑で、これらの感情が強くなりすぎてしまうと、肺の働きを弱め気の巡りを悪くしてしまいます。
【悲】
“悲しみのあまり気力がなくなる”・“意気消沈”などと同じことで、気力を奪い意欲を減退させてしまう。
【憂】
いわゆる“気が滅入る”状態のこと。
このような精神状態が続くと、次第に身体面にも悪影響を及ぼし体力低下や呼吸器系の不調を招く引き金になってしまいます。
悲しくて沈んでしまっている気持ちをすぐに切り替えることはできません。しかし、いつまでもこのような気持ちでいることは、心身にもよくありません。
家族や親しい友人などと話をしたり、自分が思っていることを文章に書くなどして、内に秘めている悲しみや思っていることを外へと出してあげることも大切です。 |
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腎は、恐と深く関係している臓腑です。恐とは、ビクビク・おどおどした精神状態のことで、いわゆる“恐怖のあまり腰が抜ける”とは、この“恐”の状態を指しています。
人や物事に対してビクビクして恐さを感じることが多いときは、腎の弱まりが精神面に影響したものです。誰しも何かに対して恐さを感じることはありますが、それがあまりに強くなりすぎてしまうと、気持ちがどんどんマイナスの方向に向いてしまい、次第に自信もなくなってきてしまいます。また、気力と共に体力も消耗させてしまい、身体面にも悪影響を及ぼします。
自分の中では恐さを感じていても、蓋を開けてみれば自分が思っているほどのことではなかった…ということが案外とあるものです。あまり悲観的になりすぎず、ときには少々楽観的でいるのもいいのではないでしょうか。 |
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