WHO(World Health Organization ;
世界保健機構)憲章では健康の定義を「完全な肉体的(physical)、精神的(mental)、spiritual(魂・霊的)および社会的(social)福祉のdynamicな状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」と提案しています。=原文(この定義は現在も議論中です)
このたび新たに追加された下線部分をどう解釈するかは賛否の分かれるところですが、この提案では“健康”の確保のためには心身の充実している状態や、生きている意味・生きがいなどの追求がこれまで以上に重要であることを重視しているものと理解されます。
ただ単に病気であるかないかではなく、些細なことでも自分の趣味や楽しみに意欲的・活動的となれる心と身体のバランスの調和した状態が、本当の健康と呼べるのかも知れません。
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医療はいま大きな変革期を迎えています。多様化する疾病に逆行し、近年では将来的な保険医療制度も危惧されています。
現代医療は西洋医学中心であることは云うまでもありません。西洋医学は大変優れた医学です。「診断の医学」とも云われ、まず検査により身体の異状を発見、特定し治療を行います。病気に対して直接アプローチ出来るため、非常に有効的かつ効率的で我々は西洋医学の進歩により長く人生を謳歌できるようになったといっても過言ではありません。
しかし、近年は生活の利便化やライフスタイルの多様化に伴い、病態やその症状も複雑になってきているように感じています。我々が、日々患者さんと接していて良く耳にすることは「病院での検査では特に異状なしと言われたが痛みやだるさがとれない…」、「薬の副作用が気になりなるべくなら薬を飲みたくない、減らしたい」などです。
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現代社会では当たり前に使われている”ストレス”というものを計る機器はありませんし、加齢現象による関節や組織の変化などはいま感じている痛みを抑えることだけでなく、今後のことも考慮しながら進行を防がなければなりません。これからの医療は疾患を未然に防いだり、最小限にとどめるといった方向へ確実に向かっているようです。正に自分の身体は自分で守るといった意識がより必要となります。
いわゆる現代医学(西洋医学)の範疇だけではカバーしきれない疾患も多くみられ、患者さん一人ひとりの身体や生活をも加味しながら画一的ではない治療を行っていかなければならない必要性を強く感じています。これらの分野ではむしろ西洋医学に比べ東洋医学が有効な部分も多いと感じています。それは西洋医学的治療が精査により原因を究明し、治療法が決定するのに対して、東洋医学的治療は症状(患者さんの主訴)から治療法を決定し進めて行く性質があるためです。
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もちろん鍼灸マッサージを代表とした東洋医学的治療も万能ではありません。西洋医学的治療が優先されるべき病態や時期もあります。しかし同様に鍼灸マッサージ治療が効果を発揮する症状も数多くあるのです。
これからの医療は複雑化した現代の疾患に対して東洋・西洋それぞれが役割を明確にし、長所を発揮し短所を補い合う『総合的(Total)治療』、そして個々の患者さんの身体や生活に合わせた『個別的(Personal)治療』が重要だと考えています。これこそが当院の目標としている(Total&Personal
Conditioning
Care)です。鍼灸マッサージ(東洋医学)分野のもつ長所、有効性そして可能性を多くの方に理解して頂きたいと思います。そのために我々鍼灸マッサージ師が果たすべき責任は大きく、その役割は数多くあると強く確信しています。
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東洋医学的治療は、ある程度の長い時間を一人の患者さんと共有します。治療自体も一定の時間を要しますが、東洋医学はその病態だけに目を向けるのではなく、患者さんの体質や生活環境しいては性格までも視野に入れながら、十分な会話の中で治療計画を立て、さらには今後をも考慮しながら治療を行っていく性質をもつためです。それ故に一日で診られる患者さんの数には限りがあります。
しかし、ある意味ではそれが東洋医学的治療の利点でもあり、魅力でもあると思います。
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当院の特徴は
スタッフが鍼灸マッサージの有資格者というだけでなく、ケアマネージャー(介護支援専門員)、健康運動指導士、アロマテラピスト、アスレチックトレーナー、トレーニング指導士といった資格を有していること
です。
鍼灸マッサージ治療はもとより、スタッフそれぞれが得意分野やスキルを生かし、運動療法指導(リハビリテーション)やスポーツ相談、ダイエット相談、そのほか日常生活上の指導など、幅広く患者さんからの相談がお受けできるようにとの考えからです。
元来、人の身体を診るということは決して簡単な事ではなく大変な責任のいることです。我々はその事を日々心に刻みながら治療に当たる義務があります。決して驕ることなく、絶えず知識や技術を磨く向上心を持ち続けるという意味では、永久に未熟であるべきと考えています。
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皆さんは
“医は仁術”
という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?仁(じん)という字には慈しみや愛情などの意味があります。最近よく耳にする医療の話題は、人の身体を預かる立場の者としてごく当たり前のことがどこか希薄な気がしてなりません。
患者さん一人ひとりにベストコンディションを提供出来るよう、一人でも多くの方に信頼される治療家となれるよう、そして何よりも“仁”という言葉の意味を忘れずに会話を大切にした温かい治療院にしていきたいと思っています。そして皆様が健康に毎日を過ごして頂くための力となれるよう、スタッフ一同一層の努力をして参ります。
今後とも宜しくお願い致します。
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仁鍼灸治療院 院長 石岡俊祐
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