仁鍼灸治療院(江戸川区・葛西)は、はりきゅう・マッサージ・スポーツマッサージ・リラクゼーションの鍼灸治療院です。
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現代医療における鍼灸マッサージの役割
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 私たちの日々の生活は絶えずさまざまなストレスに晒されています。生活の利便化によりますます運動不足の傾向は顕著になり、仕事などにおいてはOA機器の急速な発達や車社会で長時間同一の姿勢をとる機会が増えました。このような生活では筋肉内の血液循環も阻害されやすく、長期的には生活習慣病などの内科系疾患や、筋力低下に伴う運動器疾患なども引き起こします。

 肩凝り、腰痛またはそれに伴う神経痛などの症状は日常生活動作と深い関わりがある場合も多く、これらはある種の現代病と云えるでしょう。

 医療の飛躍的な進歩により、私たちは長く人生を謳歌出来るようになりました。しかし、その一方で高齢化に伴う健康への問題にも配慮していく必要があります。

 例えば、関節の変形による痛みや運動制限などは、壮年期以降の加齢現象で多くみられます。これらの症状には適度な運動を含めた生活習慣を取り入れると同時に、慢性的な痛みに対する管理をしなければなりません。

 以下では東洋医学療法の中でも代表的な鍼灸マッサージ治療の現状や有効性について説明したいと思います。更に現代医学(西洋医学)と対比させながら、それぞれの特徴を挙げるとともに、鍼灸マッサージ治療が現代医療において進むべき方向や果たすべき役割について、私なりの考えを述べたいと思います。

 皆様が「健やかな生活を営むための指標」として少しでも役立てれば幸いです。
 人間の身体には元来、恒常性保持機能(=ホメオスタシス 生体の内部環境を常に一定に保つための自動調節機能)が備わっています。これは自律神経系の作用によって維持されていますが、外部や内部からの様々な要因によりこの機能が失調すると疾病という現象になって出現するとされています。

 西洋医学ではまず検査により病気の原因を追究し、治療を行います。例えば感染症にはその原因となっている細菌やウイルスに対して抗生物質を投与したり、外科的な処置で不具合を取り除いたりします。

 これに対して東洋医学的治療の考え方は、元々個人に備わっている自然治癒力(病気や身体の不具合を自分の力で治そうとする力)を高めて改善・良化させようとするものです。当然、薬剤は使わないので副作用などはありません。

 鍼灸マッサージ治療の根幹となる概念の一つに、未病治(みびょうち)というものがあります。これは読んで字の如く「未だ病成らざるを治す」という意味で、病気に至らないうちに、まだごく初期の段階でそのリスクを摘み取ってしまおうと云うもので、要するに予防医学ということです。

 現代医療は西洋医学中心である事は云うまでもありません。西洋医学は非常に優れた医学ですし、我々が健康に生活を営むうえで必要不可欠な存在です。ただ、日々の診療でたびたび耳にする患者さんの話の中には、レントゲンや血液検査などでは特別な異常が見当たらないにも関わらず、痛みや倦怠感を訴えるケースの多いことです。

 多くの病気が現代医学の進歩によって治癒されつつあるのに対し、習慣的に繰り返される身体の変調、慢性的に経過する生活習慣病などの多様化・複雑化する数々の疾病の中には、西洋医学の範疇だけでは収まりきれないものが有ることも事実です。

 東洋医学は『予防医学』として発展して来ましたが、治療効果のメカニズムをみると現症状としての痛みや倦怠感、自律神経症状など、また一部の急性的な痛みを和らげる、取り除くことに有効であるのが分かります。

 東洋医学は元々、長年の経験に基づいて確立されてきた医学です。西洋医学に比べると、どちらかといえば一般の方には今一つ理解しにくい部分も有りましたが、最近では鍼灸マッサージ療法に対する研究も盛んに進められ科学的にもその効果が解明されて来ました。(※詳しくはサイト内の治療案内をご覧ください)
 東洋医学では疾病の原因を大きく、下記の3つに分けて考えています。

 @
外因【がいいん】(人体を取り巻く外的要因)
 A
内因【ないいん】(人体の中にある内的要因)
 B
不内外因【ふないがいいん】(外因でも内因でもないもの=飲食物、疲労、遺伝など)

 これらは当然個人の体質や日常生活、環境などにより異なるもので、治療の独自性のために大切な要素です。

 診察方法は基本的に
四診【ししん】と呼ばれる次の4つを中心に進められます。

 @
望診【ぼうしん】(目による判断=視診)
 A
聞診【ぶんしん】(音や匂い)
 B
問診【もんしん】(状態について診断に必要な事を問う)
 C
切診【せっしん】(手で触れて診断する)

※整形外科的運動器系疾患に関しては、西洋医学的な理学テストも併用して行います。

 このような流れで病態を観察・決定し(東洋医学では証(しょう)を立てると云います)経穴・経絡に反映させる事で治療に直結させる方法をとっています。

 東洋医学ではあくまでも患者さんの自覚症状を重んじ、経験的に確立されてきた概念を用いて総合的、全機的に生体を把握しようとしています。
 例えると電車の路線図に似ています。駅は路線の上に点在していますが、言うなれば経穴【けいけつ】(つぼ)経絡路線です。全身にくまなく14経絡張り巡らされていて、ある経穴(駅)では他の経絡(路線)と交わり互いに連絡しています。

 経絡は内部で臓腑に属し、外部では体表に分布しています。東洋医学では生命活動の源である気・血を運ぶとされていて、これに滞りのない状態が健康と想定されています。

 これに対して西洋医学は他覚的所見を重視し、検査によるデータを重要視しています。身体の不調を訴えて来院された患者さんに対してまずあらゆる方向から検査を行い、その結果、診断名が決定し治療はこれに沿って行われます。

 科学・分析的かつ理論的で、疾患に対し直接アプローチ出来る点でとても効果的です。ただ、先に挙げた自律神経系の症状や慢性的に続く痛みや倦怠感、一部の急性的な痛みの中には医療機関による検査でもはっきりとした原因がわからない、実体が掴みずらいと云った病態も多くみられます。

 西洋医学は大変優れた医学ですが、ある意味ではこういう部分に弱さがあるのかも知れません。勿論、鍼灸マッサージも全ての疾患に対して有効であるはずがありません。我々鍼灸マッサージ師が対応できる種類のものではなく、医師の診察、治療が必要であるものもあります。

 例えば、身体の器官そのものに原因があって病態が出現している(器質的変化)場合などは、医療機関による治療が最優先されるケースもあるでしょう。我々東洋医学療法者は診察により状態が推定できたら、それらが鍼灸マッサージ治療で有効かどうか、医療機関による検査・治療が必要かどうかの判断をする事が大切となります。

 ただ非常に残念な事ですが、一部の東洋医学療法者の中には必要のない治療や誇大な表現で患者さんの不安を煽り、漫然と通院させるようなケースも数多く見られることも事実です。我々鍼灸マッサージ師も確かな目を養うとともに、医療者としてのモラルを再認識しなければなりません。正確な情報を提供できる知識を持ち、治療技術向上のためにたえず努力していく必要があります。
 鍼灸マッサージの効果は一般の方の治療・健康増進には勿論のこと、スポーツ医学に対しても広く浸透していて、スポーツ競技者の傷害に対する治療と共にコンディショニング作りにも広く活用されています。(※詳しくはサイト内のスポーツコンディショニングと鍼灸マッサージをご覧ください)

 スポーツマッサージという言葉はよく耳にされると思いますが(近年はスポーツ鍼灸という言葉も使われるようになってきました)度々、患者さんからマッサージとスポーツマッサージはどう違うのかと聞かれます。これについて少し説明します。

 まずマッサージの手技としては殆ど変わりありません。痛みなどがない快適な生活やスポーツ活動を送るためには、身体に起きた不具合を治すために行う
『治療』と、このまま放置すると不具合が生じる恐れがある場合、いわゆる予防のために行う『コンディショニング』があるでしょう。

 スポーツ選手は一瞬にして筋肉や関節に強い負荷がかかったり、激しく身体がぶつかり合ったりするので、当然傷害などのリスクが高くなります。ケガをしにくい身体の備え(筋肉の疲労状態や筋力など)や個人の能力をゲームで最大限発揮するためには、そこに照準を合わせたコンディション作りは大変重要です。

 スポーツマッサージ(鍼灸)は競技者に対して、傷害の治療を目的として行う場合や、傷害を予防するためにゲーム・練習後の疲労回復目的に行う場合、ゲームにベストコンディションで臨めるようコンディショニング(調整)目的に行う場合、またゲームで高いパフォーマンスを発揮するため、時にはゲーム中や練習中に行う場合もあります。このように日常生活動作とは異なるスポーツ活動に対して、その時々の状況や体調に合わせてトータルに行っていると理解してもらえば良いと思います。

 当然これはスポーツレベルによって区切られるものではありません。プロアマを問わず、また一般のスポーツ愛好家にも云えることで、個々の体調維持の目的にも上手に活用して頂きたいと思います。
 最近、巷ではいろいろなマッサージの、またはそれに類似した看板や広告を目にします。我々ですらよく内容が理解できないものが多いのですから、一般の方は更に混乱してしまうと思います。

 これまで説明してきた通り、鍼灸マッサージは人の身体を診る医療です。私たちは治療を開始する際、特に初診の患者さんには必ず入念な問診や触診(東洋医学では切診といいます)を行います。その方の症状は勿論のこと、年齢や体格、治療経験や生活習慣など、様々な情報を得たうえで、その時に生体に対して与えるべき刺激量を決定しています。筋肉や関節に炎症はないか、筋の緊張度はどうか、また病態や部位によっても手技や割く時間を変えたりしながらマッサージを行うのです。これらは多すぎても、また少なすぎても十分な治療効果は得られません。(同様に鍼では刺入深度・太さ・手技などで、灸では数や燃焼温度で刺激量を調整しています)

 例えば年配の方の中には、骨粗鬆症【こつそしょうしょう】や関節変形などが原因で骨が弱かったり、関節の可動が制限されているような方もいます。若い方でも過去に受傷した怪我があったり、現在、患部に強い炎症があるような状況もあるでしょう。もし、このような方に誤った知識で間違ったマッサージを行えば、結果は最悪のものになりかねません。

 施術者は人の身体を十分理解した上で、その日や翌日、そして今後に至るまでを考慮しながら治療を行う事は当然だと思います。誤った選択は効果を得られないばかりか、逆に生体に悪影響を及ぼしかねません。

 これからも患者さんの身体を預かる者として、医療であるという信念を強く持ち、冷静な判断が出来る治療者でありたいと思います。
 最も大切なことは、患者さんの現症状に対して最善の治療方法が取れるよう考慮する事です。そのためには先にも述べたように、我々東洋医学療法者も患者さんの訴える症状に対して、正確な判断ができる正しい知識と技術を持つことが重要なことは言うまでもありません。

 まず最初に、患者さんの訴える症状が鍼灸マッサージ適応なのか、治療により効果が期待できるものかどうかの判断をします。症状改善のためには正しい証(診断)のもとに、適切な治療を行うことが大切です。これをなくして漫然と治療を行うことは賢明とは云えません。中には我々の見解で判断するには難しい病態に遭遇するケースもあり、専門医による診察やその後の治療が優先されるものもあります。

 逆に鍼灸マッサージ治療が有効である、効果が得られると確信できれば、私は自信を持って患者さんにお勧めするべきと考えています。但し、その判断は決して施術者の思い込みや押し付けではなく、患者さんの意思や意欲を尊重するものでなければなりません。何故なら治療は患者さんと施術者の共同の作業であり、相互理解なくして進んではいかないからです。

 実際、多くの患者さんが鍼灸マッサージ治療において良い結果を出しているケースもあるので、是非ご自分に合う治療を見付けて頂きたいと思います。

 このような考えの中から、現在当院では近隣の整形外科・内科・ペインクリニックそれぞれの専門医と連絡が取り合える環境を整えています。これらの先生方は、西洋医学的分野においては当然ですが、東洋医学療法に対する見識や理解も深く、大変信頼のおける医師です。

 これからの医療は、東洋医学と西洋医学がともに共存、繁栄していくことが必要不可欠だと思います。密な連携をはかり、それぞれの長所を生かし、弱い部分を補い合うことで治療の幅が広がるのではないでしょうか。

 そして何よりそれが患者さんのニーズに近い理想的な医療に発展できる手段ではないかと思います。今後も鍼灸マッサージという分野の中で、より良い医療とは何かを模索して行きたいと思います。
仁鍼灸治療院 院長 石岡俊祐
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