仁鍼灸治療院(江戸川区・葛西)は、はりきゅう・マッサージ・スポーツマッサージ・リラクゼーションの鍼灸治療院です。
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vol.27 (2014/12/30)
“寝違え”について
朝起きた時、「首が痛くて動かせない」という経験は誰でも一度はあるかと思います。
このような症状を“寝違え”と言いますが、これは正式な医学用語や病名ではありません。いわゆる寝違えとは、首の関節や筋肉、靭帯に炎症が起こり痛みを伴う【頸椎捻挫(けいついねんざ)】のことで、“首の捻挫”の事を言います。
寝違えの症状には、「痛みはあるけど動かせる」といった軽度のものから「首が全く動かせない」といった重度のもの、また「朝起きた時から痛い」「段々と痛みが増してきた」など、症状の度合いや頻度、痛みの経過などは様々です。


【寝違えの原因】

寝違えの原因として挙げられるひとつに「睡眠時の不自然な体勢」があります。このような体勢を長時間とってしまったことによって、首の関節や首から肩にかけての筋肉に強い緊張を与え続けてしまい、炎症が起こります。
この睡眠時の不自然な体勢を招いてしまう要因には、次のようなものが考えられます。


<自然な寝返りができていない>
寝返りは、睡眠中に体勢を変えることで血流の滞りを防ぎ、身体にかかる圧力を和らげる働きをしています。
しかし、極度の疲労やお酒を沢山飲んだ時の泥酔状態の場合などで寝返りをうてないほどの昏睡状態になってしまうと、不自然な体勢のまま長時間経過してしまい、血流が滞ることで筋肉が硬くなり、炎症を起こす原因となってしまいます。

<枕や寝具の状態>
枕の「高さ」や寝具の「柔らかさ」は、首の負担に関わる要因のひとつです。合わない枕や寝具を使い続けることで首への負荷が大きくなり、「頻繁に寝違えを起こす」状態に繋がります。
柔らかすぎる枕や敷き布団は身体が沈みやすく寝返りがしづらくなるので、ある程度の硬さがあるものが良いとされています。理想とする状態は、頭が下がり過ぎず、首が上がり過ぎない高さで、首の自然なカーブを崩さない体勢です。これは、まっすぐ立っている時の姿勢がそのまま横になれる高さで、首の筋肉や関節への負担が少ない状態です。


<寝る体勢>
うつ伏せで寝ることが多い人は、首を左右どちらかに曲げた状態のままで寝てしまうため、寝返りがしづらくなり、寝違えに繋がりやすくなります。
また、ソファーやイスに座ったままの姿勢で寝ると、頭を支えている首の筋肉が伸ばされた状態となり、首の関節やその周囲の筋肉をも痛めてしまいます。


【寝違えのタイプ】

寝違えのタイプは大きく2つに分けられます。
 筋肉が硬くなり、首の動きに制限がかかるタイプ
 首を回した方向と反対側が痛むことが多く、特定の動きをすると痛む

 関節に負担がかかり、首の動きが悪くなるタイプ
 首を回した方向と同じ側に痛みが出たり、どの方向に動かしても痛みが出る
また、痛みが長引く傾向がある

※この2つのタイプが合併していることもあります

【寝違えた時の対処法】

痛みが出た直後や患部に熱感がある場合は、まず患部を冷湿布や氷などで冷やして炎症を鎮めましょう。寝違えを起こした直後に患部を強く揉んだり温めたりすると、関節や筋肉の炎症が悪化することがあるので注意が必要です。数日経って強い痛みが鎮まってきたら、患部を温めて硬くなっている筋肉を和らげましょう。

<気をつけたいこと>
 
枕の高さ
自分に合った枕の高さを見つける方法のひとつとして、バスタオルを使って高さを探す方法があります。バスタオルを三つ折りにしたものを枕として、仰向けで横になり、左右に首が振りやすいかを試してみましょう。低めの高さから始め、楽な首の高さになるようにタオルを重ねながら調整して、自分に合った高さを探します。(そのままバスタオルを枕として使用するのも良いです)
また、現在は「枕の専門店」など頭の形や首の角度などを計測して、オーダーメイドで枕を作ってくれる所もあります。

冷え対策
首元や肩まわりの冷えは、血行を悪くする原因です。特に冬の時期は、寝ている間に布団や枕との隙間から肩回りが冷えることがあります。隙間を作らないように、首元を軽めのマフラーやブランケットで覆って、首回りの冷えを予防することが大切です。そして毎回おすすめしている※カイロの三点貼りもぜひ試してみてください。

肩こり
寝違えを頻繁に起こしやすい方は日常的に肩こりを感じていることが多い傾向にあります。筋肉が慢性的に硬くなっている状態のまま睡眠に入ると、寝返りもスムーズに行えず、寝返りの動きに対応できないことから、筋肉を痛めてしまうこともあります。
入浴後や就寝前に首や肩回りのストレッチを行い、首肩まわりの筋肉を柔らかくすることで、寝違えを防ぐことが出来ます。

ストレス
 ストレスを感じると肩や背中に無意識に力が入ってしまうため、筋肉の緊張が続いて血流が滞り、慢性的な肩こりにも繋がります。また、ストレスを感じることによってなかなか寝付けないことが多く、一時的に深い睡眠に入ると、寝返りをうたずに同じ姿勢で寝てしまい、寝違えを起こすことがあります。一日の疲れをリセットするためにも睡眠はとても大切な時間です。ストレスを解消し、心身が休める状態で眠れるようにしましょう。


【寝違え予防&対処のツボ】

<落枕(らくちん)>

寝ちがえの特効穴といわれるツボです。
頭が枕から落ちるという意味の落枕とは、中国語では寝違えという意味です。
部位…手の甲側の人差し指と中指の間、第三関節の手首側のくぼみにあり、押すと少し響き(ツンとした響き)を感じる所です。

<懸鐘(けんしょう)>
  部位…足の外くるぶしから、指4本分上にあるところです。

<風池(ふうち)>
部位…後頭部、耳の後ろにある突起した骨と後頭部中央の太い筋肉の外側です。

<肩井(けんせい)>
部位…肩の中央で一番高まりのあるところ(肩こりの方は押すとズンと響く所です。)

※急性の痛み(熱感がある場合)の時は患部を無理に押したり、揉んだりすることは控えましょう。
 <落枕><懸鐘>は患部から離れた部位なので、突然の寝違えの時など、響きを感じる程度に押してみたり揉んだりしてみて下さい。
 <風池><肩井>は肩こりにも効果のあるツボです。寝違えの予防として、日頃から揉んだり押したりして刺激を与えてみるのも効果的です。


師走のこの時期は、何かと忙しく、お酒を飲む機会も多くあり、「寝違える人が増える時期」とも言われます。また、寒い日々も続いて身体の冷えも増してくるので、寝違えに繋がる要因が多くなります。「急に起きた!」と思える寝違えですが、原因となる土台は普段の生活などから少しずつ蓄積されている場合がほとんどです。日頃から寝違えを起こしやすい状態をつくらないようにする予防が大切です。年末年始は寝違えに気をつけて、健やかに新年を迎えましょう。
平成26年12月30日
仁鍼灸治療院 鍼灸師 内堀 真樹
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