仁鍼灸治療院(江戸川区・葛西)は、はりきゅう・マッサージ・スポーツマッサージ・リラクゼーションの鍼灸治療院です。
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J's diary(院長日記)
院長日記。不定期に
更新しています。
スタッフからコラム(不定期)
Field of dreams〜院長日記番外編〜
石岡院長の高校時代の野球の物語です。
番外編として新登場!!
EP-12 (2007/2/5)
 夢のような(?)正月休みも終わり、いつも通りの練習に明け暮れる毎日が始まりました。さすがに4日間も連続して休むと身体が重いです。
 監督も練習前に「お前らが休みの間、どのくらい練習してどのくらいサボっていたかすぐ分かるからな!(ニヤリ)」などという始末…。私も含め、初日の練習はみんなキツそうでした。
 まだまだ気候的には寒くボールを使った練習は積極的に出来ないので、昨年から引き続き体力作りのための基礎トレーニング、守備練習などが中心です。

 この頃、新しい試みとして監督が変わった型のグローブを用意してきました。それはちょうど手のひらよりも少し大きいくらいのトレーニング用グローブで、確かに型はグローブなのですが、パッと見るとサッカーのキーパーがする手袋みたいでした。
 この一見変わったグローブを前に監督が言いました。
「今日からしばらくはみんなこのグラブを使え。内野手も外野手も全員だ。」
 監督曰く、打球をしっかり手で取る感覚を養うためだそうです。確かに手全体でしっかりとキャッチしないと取れなそうです。私は心の中で「内野ならまだしも外野はちょっとキツいんじゃ?」などと思っていましたが、とても口に出しては言えません…。

 ここで前述した“打球を手で取る感覚”というフレーズを「当たり前でしょ?」と不思議に思った方もいるかもしれないので少し説明します。
 野球のグローブには大きく分けて3つのゾーンがあります。それは…
1.手のひらで云うと指の位置のネット部分。
2.人差し指と中指付け根辺りのポケットと呼ばれる部分。
3.親指と小指下の膨らみの間辺り、土手と呼ばれる部分。

 通常ボールは2.のポケット部分でキャッチするのが一番安定しています。3.の土手部分ではファンブルする危険が高く、1.のネット部分は高い打球などに対して手を伸ばしてキャッチできるようにするためです。
 このトレーニンググローブは小さい上に奥行きも浅かったので、しっかりポケット部分で包み込むように球を取らないと上手くキャッチ出来ませんでした。
 監督も確実にこの“手でキャッチする”という感覚を覚えさせたかったのだと思います。

 余談ですが、野球はポジションによってグローブの型もそれぞれ特徴があります。
 例えばセカンドやショートは細かなグローブ捌きや素早いボールの出し入れが要求されるので大きさもやや小ぶり、ポケットも浅めに作られています。
 サードやファーストは細かな動きは少ないのですが強い打球やライン際の打球、野手からの高い送球をキャッチするためにグローブは縦に長めでポケットも深めです。また外野手はギリギリの打球に手を伸ばす動作が多いことからネット部分が長く、フライをしっかりキャッチ出来るようグラブがよく開き、間口も広めに作られています。

 このトレーニング用グローブは想像以上に我々を苦しめました。練習ではもちろんのこと、当初は春先に始まった練習試合でも使っていたので慣れない頃はエラーも連発です。
 相手チームからも「ナメんじゃねぇよ!」とか「格好つけてないで普通のグローブにしたら?」なんて野次られることもありました。

 私といえば、ただでさえ守備が下手なのにこんな物を持たされた日にはエライことです。しかし結果的に守備が上達したかどうかはよく分かりませんが、私にとっては違った意味で利点というか、意識の変化も感じていました。それは打球に対する反応、打球を追う際の“一歩目のスタート”の重要性です。いわゆる判断の部分ですね。

 そのグローブにはいわゆるネットがなかったので、しっかりとポケット部分で打球を捕るためにはグラブ半分でも先に走らなければなりません。届くか届かないかギリギリの打球ではまさに打者が打ったその瞬間、一歩目の反応が効いてくる訳です。
 外野手にとって“一歩目のスタート”は云うまでもなく重要ですが、さらにこの意識が高まったように感じました。
 プロ野球でも守備位置の取り方や判断の良さにひと際長けているプレーヤーがいます。昨年引退した新庄選手や今年から横浜に移籍した元巨人の仁志選手などは代表的ですね。守備ではそういうところでも技術的な要素をカバー出来るのだと考えさせられます。
 もし監督がそこまで考えて使わせていたのなら凄いなと思います。

 ついでに野球用の手袋の話題にも少し触れてみたいと思います。
 プロ野球や社会人、大学野球では野球用の手袋は一般的ですね。最近は高校野球の甲子園大会を観ていても以前よりは手袋を使っている選手が多くなった印象もありますが、それでも未だに素手の選手が多いように思います。
 なぜ高校生だけ…?これは疑問です。何か理由があるのでしょうか?

 私の勝手な想像ですがその理由はやはり高校野球の世界の独特な風潮、精神論的な部分にあるのではないでしょうか。“バットマンは手にマメを作ってなんぼ…”、手袋が一種ファッションのような捉え方をされ、格好は二の次的な考えが色濃く残っている…。かつての指導者の思想、またその名残りであるような気がします。
 当時、うちのチームの野手は打つ時も守りの時も手袋をしている選手はいませんでした。ピッチャーは冬場のバッティング練習では付けていたように記憶していますが、試合では素手でした。

 手袋の効果は当然、手を保護するためにあります。ピッチャーの場合は投球の際に微妙な指先の感覚が大切なので手にマメを作らないようにするためとか、打ち損じなどで手が痺れて影響がでないようにという意味があります。またランナーとして塁に出ている時は野手と交錯した際、スパイクの金具などで手をケガすることもあるので確かに必要だと思います。
 打者でもプロ野球選手のようにそれを職業としていて毎日たくさんバットを振る人達は、なるべく手をキレイに保つために手袋をしているのでしょうか。練習時にいつも手袋をしていたら当然ゲームでもしますよね。いきなり素手でやったら凄い違和感だと思いますから…。

 そうなのです。個人的な考えですが打者がするバッティング時の手袋はむしろ個々のフィーリングや慣れの部分が大きいのかなとも思います。
 実際、私は草野球でも打つ時に手袋はしません。昔からそうだったので、むしろない方が手でしっかりとバットをグリップ出来るような気がするからです。
 かの世界のホームラン王、王選手(現ソフトバンク監督)は現役時代、常に素手であったことは有名です。そのことについて王選手自らがコメントしている記事を読んだことがあります。
 一言一句は定かではないのですが、確か“バットを通して手のひらで感じる打球の感触が重要”“バットの芯に当たった時も打ち損じた時も、手袋をしていたらその違いが解らない”おおよそこんな内容だったと思います。
 偉大な打者だからこその感性もあるのでしょうが、何となく分かるような気もします。

 高校生が手袋をすることの善し悪しは別として、時代とともに選手も変わってきているのでしょうね。これは今の時代の高校生の気質によるところも多いのでしょう。甲子園大会をTVで観ていても、頭の毛を完全に剃っているようなチームはほとんど見ませんし(さすがに長髪や茶髪はいませんが)、色々な部分が良い意味で自由な感じがします。

 指導者も以前とはだいぶ変わってきたようです。あまり厳しい規則で管理し過ぎると選手が付いてこなかったり、返って選手の個性をつみとることにも繋がり良くないのでしょう。そういえば最近の監督さんはどこか選手の“お兄さん”的な雰囲気の方が多くなった印象があります。
 うちの監督は厳しい練習が自信になるとか、“なにくそ!”という反発心が上達への近道と考える人でしたから、少なくとも私達にとって監督は“お兄さん”ではなかったですね(笑)。

 昔と今はいろいろな部分で比較になりませんが、大きな目標や喜びのために毎日苦しい練習を頑張っていることは同じです。選手は自分の力を出し惜しみせず、努力を怠らず、そして自己に厳しくあって欲しいと思います。そうすれば必ず結果はついてきます。
 練習は決してウソをつきませんし、何より好きで選んだ道なのですから…。

To be continued…
 2007.2.5 S.Ishioka wrote
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