仁鍼灸治療院(江戸川区・葛西)は、はりきゅう・マッサージ・スポーツマッサージ・リラクゼーションの鍼灸治療院です。
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J's diary(院長日記)
院長日記。不定期に
更新しています。
スタッフからコラム(不定期)
Field of dreams〜院長日記番外編〜
石岡院長の高校時代の野球の物語です。
番外編として新登場!!
EP-17 (2007/5/19)
 いまTVや新聞では野球特待生の問題が多く取り上げられています。某プロ球団の金銭授受に端を発し高校野球に飛び火した形ですが、これは本来の野球特待制度とは異なるもので、些か問題がずれてきている感も否めません。
 ニュースなどで一部報じられているような学生への“金銭授受”について私はよく知りませんが、正直なところ野球特待生制度は今に始まったことでもありません。当時も私立の有名高校野球部では県外からの選手が大勢いるところがありました。
 習校も中学時代に県内で良い成績をおさめた選手をピックアップして声を掛けることはしていましたし、私もその中の一人でした。ただ、習志野は公立高校だったので県外の生徒が自由に入学できるということはなく、当然毎年3月に一斉で行われる公立校入試においても成績面での優遇や、まして金銭面で援助されるといったこともありませんでした。(私立はそうでないという訳ではありません)

 我々の時代ではそういった野球推薦的なものが“暗黙の了解”といった部分もあって、それが社会現象となるほどの大きな問題にはなっていませんでした。実際にプレーをしている我々もそれがズルいとかフェアじゃないなんて考える余裕もなかったし、仮に相手チームがそうでも“考えても仕方のない”ことくらいに思っていたのかも知れません。
 私が感ずるに本気で甲子園を目指している選手達の思考は、至ってシンプル、純粋なのです。「相手がどうだろうと勝たなければ甲子園に行けない」というくらいの考えを持った選手がほとんどだと思います。

 現在、在学中にプロの球団から金銭的な援助を受けていたということで野球生命を絶たれるかも知れない状況の選手達がいます。もちろんこのような関係は不適切で歪んだ形だと思いますし、これらの行為が「良くないこと」というくらいの認識は学生にだって出来ている筈です。
 渡す側も悪いが、受け取った側も悪いという論調もあります。しかし、私見ですがやはりこれは大人の側の責任が大きいのではないかと思います。何故ならこの構図は社会的・権力的立場の強者と弱者の関係に似ているからです。
 多くの高校球児は幼い頃からずっと野球をしています。心底、野球が好きで青春を賭けて打ち込んできたような野球少年が「いつかはプロ野球選手に…」と憧れるのはごく普通の感情です。

 実は私が3年最後の夏を間近に控えた時期、某セ・リーグプロ球団のスカウトがグラウンドに挨拶に来て話しをしたことがあります。その日、練習が始まる前に私と同期のエースだったO君(彼は高校卒業後、ドラフト4位で当時のダイエーホークスに入団しました)はグラウンド内にある監督室に呼ばれました。二人で「なんか俺達やったっけ?」と話しながら(少しビビりながら)部屋に入ると監督と話している人物がいました。
 その人は我々二人に向かってこう言いました。(詳しく覚えていませんが…)
「○○のスカウトをしている○○です。もし縁があったらその時はよろしく。」その後はその人と監督がしている雑談を端で少し聞いている程度でした。

 実はプロのスカウトがこの程度の挨拶に来ること自体、大したことではありません。普段スカウトは“ここに良いバッターがいる”と聞けば見に行き、“こちらに面白い投手がいる”と云われれば駆けつけ、それこそ全国を飛び回って選手を発掘しています。そうしてピックアップした大勢の中からドラフトで指名する選手を選ぶのですが、その人数はほんの僅かです。
 しかし、我々高校球児にとってみれば「まさかな…」とは思ってもこの状況はついつい淡い期待を抱いてしまいます。その日の私は完全に勘違いして舞い上がっていたのではないでしょうか。もちろん私には到底プロに入れるような実力はありませんでしたが、正直な気持ち、ここでなくてももしどこかの球団が入れてくれるなら(?)契約金・年俸なしでも5年くらいはやってみたいと本気で思っていましたから…。

 言葉は悪いですが、そういう純粋な“野球バカ達”にとって「プロに入れるかも知れない」といった状況は二度とないチャンスだと思うでしょう。相手は“百戦錬磨”、自分達から見たらずっと人生経験の豊富な大人だと思うだろうし、学生には疑う余地もありません。
 金銭の授受にしても「大丈夫だから」と言われれば信用してしまうかも知れないし、ここで仮に拒んだりしたら「お前はいらない」とでも言われるのでは?=プロへの道が閉ざされるのではないか?そう考えたら断るに断れない状況は容易に想像が出来ます。
 このような場面で選手はとても弱い立場だと思うし、大人側は選手の純粋な気持ちを利用しているようにしか思えないのです。もし大人側が倫理を放棄し、真剣に選手の将来を考える感覚が麻痺しているのであれば、間違いなく被害者は選手(学生)だと思います。

 野球特待生制度に付いては専門家や識者も様々なメディアで意見や打開案を述べていますし、世論も“しっかりした規則を作って認めるべき”との風潮が高まっているようです。
 全ての規制を取り払えば、必ずその合間を潜り抜けてくる流れは出てくるでしょうからある一定の規制は必要でしょう。ただ、学生野球の本分も元は“教育”なのでしょうから、才能に秀でている人の才能を伸ばしていくことも大切な教育の一つだと思います。野球に特化しなくても、大局的な見地に立てばいずれはそれが能力として社会へ還元されていくことにも繋がるのでしょうから、一部の“大人”の都合ではなく時代にそぐった制度を確立して欲しいと思います。

To be continued…
 2007/5/16 S.Ishioka wrote
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