仁鍼灸治療院(江戸川区・葛西)は、はりきゅう・マッサージ・スポーツマッサージ・リラクゼーションの鍼灸治療院です。
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J's diary(院長日記)
院長日記。不定期に
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スタッフからコラム(不定期)
Field of dreams〜院長日記番外編〜
石岡院長の高校時代の野球の物語です。
番外編として新登場!!
EP-23 (2007/9/13)
 「あれ、朝の…、コンビニくんじゃねぇの?」
 帽子のひさしで影がかかり、少し顔は見えにくいものの私も覗き込むようにしながらその顔を確認すると…。そうです、間違いなく今朝、駅前から我々をグラウンドまで連れて来てくれたその彼でした。
 あの時はまさか我々も彼が噂の“魔球・N川”(まだ投げるか分かりませんが)だとは誰一人思わなかったし、彼自身も自分がW実業のエースだなんて素振りを微塵も見せませんでした。

 「チクショー、やられた!」皆の顔もどこか苦笑い、いや苦虫を噛み潰したような何とも複雑な表情です。相手が一枚上でした(笑)。
 これはますます負ける訳にはいきません。ナックルだろうが何だろうが、必ず打つ!みんな気合い入りまくりです。この過剰なまでの気合いを怪訝そうに見ていた唯一の人物は…、そう監督ですね。

 話は逸れますが、W実業のグラウンドに到着してまず最初に目に飛び込んで来たのは、グラウンドを取り囲むコンクリートの壁一面に油性のペンで書かれた落書きでした。(今は移転して現在の場所ではありません)
 その落書きのほとんどは、「大ちゃん大好き!」とか「大ちゃんLOVE!」etc…。その中でたまに「小沢くん命」とかいうものもあります。よく見ると我々が着替えた部室のような建物の外壁にも沢山書いてありました。

 古い(?)高校野球ファンの方であればもうピンと来ましたね。
 そう、この落書きは今から遡ること二十数年前、夏の甲子園に“大ちゃんフィーバー”を巻き起こしたW実業の1年生エース荒木大輔選手の女性ファンによるものです。
 荒木大輔投手は背番号11の1年生ながら甲子園で大活躍し、惜しくも決勝で敗れはしたものの、その端正なマスクで一躍大スターとなりました。その熱狂ぶりは同じく昨年のW実業のエース“ハンカチ王子”を遥かに凌ぐほどでした。
 当時の大フィーバーぶりは小学生だった私も鮮明に覚えていて、一種の社会現象となったほどです。ちなみにこの年の新生児の名前は「大輔」が大流行したとか…。何でもその年に生まれたあの松坂大輔投手(現B.レッドソックス)は荒木大輔ファンだったお母様の意向で命名したという話を聞いたことがあります。
 ちなみに小沢選手とは当時荒木投手と同級生1年生コンビとして甲子園を沸かした二塁手で、後にW実業の主将となります。個人的に私はこの小柄ながら野球センスに溢れた小沢選手が好きでした。
 小沢選手は卒業後にW大へ進学、大学卒業後は千葉県の高校に赴任し、今度は指導者として甲子園を目指していましたが、昨年41歳という若さで病に倒れ還らぬ人となりました。
 この話を聞いた時は本当にビックリしました。しかし、まさにこの年の夏、斎藤投手を擁してW実業が夏の甲子園で初優勝したり、先の松坂投手の話にしても歴史の巡り合わせというのは本当に不思議なものです。

 話を戻します。
 試合は同点のまま終盤にもつれましたが習校が勝利をおさめました。しかし、それも試合後半にN投手が交代して二番手の投手からうちが勝ち越したものでした。スコアは記憶していないのですが、小差だったと思います。

 私はというとフル出場をして5打数2安打と成績はまあまあだったのですが、N投手には三度対戦して無安打でした。初めて見た“ナックルボール”は確かに奇妙で不思議な変化球でした。打席でその球を見るとボールの縫い目がハッキリと見えました。変化自体は想像していたものほど大きくなかったのですが、揺れながらバッターの手元で少し沈みます。それがバットの芯を微妙に外しクリーンヒットさせないのです。
 ただ他の球種との最も大きな違いはそのスピード差で、むしろ私達はそちらの方に戸惑いました。N投手自身の意図もどちらかというと“決め球”というより相手のタイミングを外す“チェンジアップ”的な要素が強いのかも知れません。
 N投手はストレートも140キロくらいは出ていましたし、他にもカーブ、スライダー、シュート(…も投げたかな?)も投げます。結局、私には三度の打席中4〜5球ほどしか投げて来なかったし、手も足も出なかったというよりは「打たされた」という印象でした。
 私を含め、チーム自体が明らかに“ナックルボール”に対して過剰になり過ぎていたのかも知れません。

 これが練習試合で良かったと皆、思っていたのではないでしょうか。
 プロ野球と違って高校野球は一発勝負です。試合の序盤で生まれた戸惑いを結局最後まで修正できず、気が付くと試合が終わっていたという苦い経験が嫌というほどあります。
 強いチームというのは(個人でもそうですが)沢山の引き出しを持っていて、苦しい時にこそ多くの戦い方を知っています。“最後は勝つ”みたいなところですね。
 次の機会というのが高校野球には許されないので、このゲームはとても良い教訓でした。

 これからも夏までの間に数多く強豪との練習試合が組まれています。私も朧げになりがちな記憶を頼りに、これからも練習試合の思い出を出来る限り書きたいと思います。強豪校、有名選手、そしてそこにいた個性的なチームや選手を…。


To be continued…
 2007/9/13 S.Ishioka wrote
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