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仁鍼灸治療院(江戸川区・葛西)は、はりきゅう・マッサージ・スポーツマッサージ・リラクゼーションの鍼灸治療院です。 |
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HOME >> J's diary(院長日記) >> vol.30(2009/3/16) |
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スタッフからコラム(不定期) |
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〜院長日記番外編〜 |
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石岡院長の日記です。不定期にUPしてまいります。 |
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vol.30(2009/3/16) |
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平成21年2月22日(日)「第二回 区民のための東洋医学講座」(於:江戸川区総合文化センター)第二部の演題は「鍼灸・手技が効くわけを科学の目で見る」です。講師は筑波技術大学名誉教授 西條 一止(にしじょうかずし)先生でした。
実は今回、私の最大のお目当ては西條一止先生の講演を聞くことでした。医療系大学の学長や専修学校の校長などを歴任、医学博士であり、現筑波技術大学名誉教授でもある西條先生は、講演や執筆活動などを通して東洋医学(鍼灸学)の研究・発展に多大な貢献をされた方です。著書も数多く出版されていて、我々臨床鍼灸師のみならず学生でも一度は西條先生の文献に目を通したことがある人も多いと思います。
西條先生の講演を聞くのは初めてではありませんが、柔らかい口調と物腰、そして相変わらずの存在感は健在で自然と話に聞き入ってしまいます。
講演中、ご自身が満70歳を迎えられたことを話しておられましたが、更なる東洋医学や鍼灸の臨床研究、そして教育普及の推進に強い意欲を示しておられ、その姿勢には敬服しました。
【写真1】はこちらの図々しい申し出に快く応じてくださった渾身の一枚です。(笑)
講演内容は西條先生の長年の研究分野でもある「自律神経系」への作用機序が中心で 、“鍼灸・手技療法が生体内でどのような変化を起こし、自律神経系に働きかけるのか、またそのメカニズムを科学的に立証する”というものでした。
「自律神経=じりつしんけい」よく耳にはするけれど、実はよく解らないという方も多いと思いますので簡単に説明します。
自律神経とは我々の身体の機能すべて(循環、呼吸、内臓の消化吸収、発汗・体温調節、内分泌機能、代謝など)を調節している神経で、大きく次の二つに分かれます。
【交感神経】:身体を活動させる時に主体となって働く。“昼の神経”と呼ばれ、主に激しい活動を行っている時などに(興奮や緊張)活性化する。
【副交感神経】:身体を活動できる状態に準備する。“夜の神経”と呼ばれ、休息時などに(安静やリラックス)優位となっている。
多くの身体活動においてこの二つの神経は拮抗的に働くことで、我々は身体をニュートラルな状態(バランスのとれた)に調節しているわけです。※一部には双方が同時に一つの臓器を支配するような働き(二重支配)もあります。
自律神経は生活習慣や環境、自己の性格や体質、ストレスなど、様々な要因で影響を受けやすく、さらに “不随意【ふずいい】神経”(自分の意志ではその機能をコントロールできない)でもあるため、身体の変調を自覚しにくいとも言えます。
※逆に体性神経系【たいせいしんけいけい】は“随意【ずいい】神経”(自らの意志で動かせる)であり、(=広義の意味)骨格筋を支配する神経は体性運動神経と呼ばれます。
講演で西條先生はこの自律神経が「“鍼による刺激”と“痛みの刺激”という二つの刺激によってどのような反応・変化を起こすか?」を(呼吸数・発汗・心拍・血圧)などの科学的なデータに基づいて検証した結果を示されました。
ここでは文面上、詳細な説明は割愛しますが(別の機会でご報告出来ればと思います)これら検証結果の多くで鍼刺激の優位性が確認されました。
例えば先に挙げた計測データ(呼吸数・発汗・心拍・血圧)から副交感神経の働きは鍼刺激で【亢進】され、痛み刺激で【抑制】されることが明確に解りました。これは恒常的な痛み(慢性痛)が栄養の吸収や疲労の回復などを妨げるということを示唆しています。
また、計測中に簡単な計算問題を出したり、質疑応答をするといった【精神的ストレス】を与えると痛み刺激と同様の計測データ、交感神経の【亢進】という結果が得られました。
現代人にとって切っても切り離すことの出来ない“ストレス”…。
ストレスは“精神的なもの”“気の持ちよう”といったどこか抽象的なイメージで捉えられることもありますが、この実験からも“ストレス”は身体を緊張させ、消耗を高めるということが科学的に立証されている訳です。これにより例えば器質的(身体の諸器官・部分)疾患のない、原因が特定できないといったいわゆる「心因性腰痛」などの説明も付くことになります。実はこのような訴えを持って鍼灸院に来られる患者さんは意外に多いのです。
西條先生の講義を聞き、改めて鍼灸の治療効果は自律神経系と深い関わりがあることを再認識しました。そして、一部で講演した藤井先生の話とともに、お二人の先生の講義から見えたことがあります。少し大それた言い方ですが、それは『鍼灸の未来像』です。
東洋医学療法や鍼灸治療がこれまで以上に身近に感じられ、皆様の生活に密着したものとなるためには次のようなことが重要だと思います。
○ 施術者、患者双方が“効果”を実感しやすく、且つ理解しやすいものであること。
○ 可能な限り客観的であること、また治療の根拠が誰にでも納得できるものであること。
そのためには様々なデータを取り、症例を基に臨床研究を積み重ね、しっかりとした【エビデンス】(=根拠・証明)を確立していく必要があります。
講演の冒頭で西條先生は「鍼灸効果が科学的に解明されてきている」という事実と、“科学の目覚ましい進歩”をある話題と対比させながら話をされました。人類誕生の起源です。
これには諸説ありますが、我々の祖先にあたるといわれる(新人)の出現は約20万年のアフリカ大陸と云われています。
現在の最先端遺伝子研究では、染色体レベルでこの人類の起源を遡り追っていくことが可能なのだそうですが、最近の有力な説として人類はもともと“ある一人の女性に起源している”というのです。これはなかなか興味深い結果です。
もともと人類は“神の創造物”という考えのもと、不確定さとある種の思想に介在したような存在でしたが、科学の進歩はこのような神秘までも解明する力を秘めているのです。
今まではどこか主観的なイメージで捉えられがちだった東洋医学や鍼灸治療の立証効果も、これらの研究と相通じるところがあるように感じます。
近年、国内のみならず世界中の研究者の間で東洋医学や鍼灸に代表される【代替医療=だいたいいりょう】を科学的に立証しようという動きが活発で、確実にその成果をあげてきています。今後ますます研究が
進んでいく中で、東洋医学が“サイエンスベース”で語られる日もそう遠くはないでしょう。
そうなった時に改めて我々施術者の資質は問われます。鍼灸師も「東洋医学、または鍼灸だけで良いのだ」という偏った考え方はなくすべきです。西洋医学的な知識も深く併せ持つことで本分の長所を活かすことが出来るはずですし、初めて西洋医学と同じ立場で患者さんにとっての【より良い医療】を語れるのではないでしょうか。
最後に一つ余談を…。
講演中、西條先生も少し触れましたが皆様もチャールズ・ロバート・ダーウィン(1809.2.12〜1882.4.19)の名を聞いたことがあるのではないでしょうか。生物の進化に関する科学的理論、【進化論】を体系付けたイギリスの自然科学者です。
進化論とは…。全ての生物種は不変のものではなく、共通の祖先から長い年月をかけて彼が自然選択(※1)と呼んだプロセスを通し次第に変化・進化してきたことを明らかにしたもの。現在見られる全ての生物は全てその過程の中で生まれていると説明している。
※1:厳しい自然環境が、生物に無目的に起きる変異(突然変異)を選別し、進化(生存・生殖など)に方向性を与えるという説。〜Wikipediaより抜粋〜
科学が目まぐるしい進歩を続ける現代では、人類の起源や生物進化の過程にとどまらず、様々な分野で次々と見えてくる真実があります。もちろん我々が携わる医療の世界も然りです。
私自身、日々の診療の中で「いつも心に留めておこう」と思っていることがあります。今年、年頭の挨拶にも書きましたが“積み重ねてきたものを大切に守りつつ、常に新しいものを取り入れようとする意欲を持ち続けたい”という想いです。
“新しいことにチャレンジしよう”“新しいことを学ぼう”という意欲をなくした時、人間の向上は止まってしまうと思うからです。
ダーウィンが残した言葉に私の大好きな名言があります。
「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き延びる訳でもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。
」
今年はダーウィン生誕200年の記念すべき年でもあります。常に新しい未来を見続けていたダーウィンは、約二世紀も前に科学の目で真実をも見つめていたのですね。 |
平成21年3月16日 |
仁鍼灸治療院 院長 石岡俊祐 |
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