仁鍼灸治療院(江戸川区・葛西)は、はりきゅう・マッサージ・スポーツマッサージ・リラクゼーションの鍼灸治療院です。
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J's diary(院長日記)
スタッフからコラム(不定期)
Field of dreams〜院長日記番外編〜
〜院長日記番外編〜
石岡院長の日記です。不定期にUPしてまいります。
vol.5(2006/2/11)
 2006年2月10日、待ちに待った冬季五輪トリノオリンピックが始まりました。スポーツ好きの私としてはこれから約20日弱、眠れない夜が続きそうです。

 トリノと云われてもすぐにピンとこないとか、イタリアにあるという事は知っていてもイタリアのどこ?という感じの方も多いのではないでしょうか。トリノはイタリアの北西部、ピエモンテ州に位置する都市ですが、実は食通の方にはたまらない場所でもあります。

 ピエモンテ州の「名産」として代表的なものにはチョコレートやチーズ、サラミや牛肉などがあり枚挙に暇がないほどです。話は違いますが、チョコレートといえば先日トリノ入りした女子フィギュアスケートの荒川静香選手が真っ先にチョコレート屋さんに行くとTVで話していました。そういえばバレンタインデーももうすぐですね。

 話が少し逸れましたが、このピエモンテ州の中でもアルバという町を中心とする地域で採れるタルトゥフォ・ビアンコ(白トリュフ)は、あまりにも有名です。名声とともにその芳香、風味、味わいは圧倒的な存在感で、世界の食通達がこれを求めてこの地に集まるほどです。(値段も圧倒的ですが…)皆様もご存知だと思いますが、世界の三大珍味として知られるのはフォアグラ、キャビア、黒トリュフですが、このアルバ産の白トリュフは黒トリュフを凌駕する存在として珍重されています。(ちなみに黒トリュフはフランス、ぺリゴール産が有名です)

 また、ピエモンテ州はワインの産地としても偉大な土地です。私もワインが好きで(あまり詳しくはありませんが…)本を読んだり、休日には自分でワインを買いに行ったりするのが楽しみの一つでもあります。イタリアワインといえばトスカーナが有名ですが、このピエモンテ州から生まれるバローロやバルバレスコ、ドルチェットといったワインはフランスワインと比べても遜色ないほど秀逸なものです。

 今回のトリノオリンピックで私が個人的に応援している、頑張って欲しい選手が2人います。まず1人目はアルペンスキーの佐々木明選手です。

 私もスキーが大好きで一時期はかなりのめり込んで毎週スキー場にいっている頃がありました。(10数年前はスキー場で住み込んで働いている時期もありました)今はTV放送もありませんが、当時はアルペンスキーのW杯が深夜に放映していて、それを楽しみに睡魔と戦いながら夢中で見ていました。イタリアのアルベルト・トンバやスロベニアのユーレ・コシール、ルクセンブルクのマーク・ジラルデリ、ノルウェーのオーモットやラッセ・シュースなど(マニアックですいません)彼らの滑りにそれはもう大興奮でした。当時のトップスキーヤーは、やはり欧州、北欧、北米の選手が中心で(今でもそうですが…)そこに日本人が入り込む余地などとてもありませんでした。しかし、今回出場する佐々木選手はそこに割って入るポテンシャルを秘めたスキーヤーだと思います。

 オリンピックのアルペンで日本人が表彰台に立つシーンを是非見たいものです。ちなみに前述したノルウェー代表のヒェティル・アンドレ・オーモットはこのトリノを最後に引退にするそうです。当時、若かりし彼の滑りに興奮していた自分としては是非ともオーモットにも頑張って欲しいなと思っています。

 2人目は私がアスリートとして心から尊敬するスピードスケートの清水宏保選手です。彼に心酔したのは確か長野で金メダルを獲得した後、ふと何気なく見たTVで彼を特集した番組からでした。その番組を見て真っ先に思ったのは、清水宏保という人は「まるでアスリートというより求道者のようだ」と感じたことをよく覚えています。考え方、身体に対するこだわり、自己への戒めなどを決して妥協することなく話す彼の姿をみて、そのストイックなまでのこだわりに深く感銘しました。これはシアトル・マリナーズのイチロー選手にも同じような印象があります。

 清水選手がその番組のインタビュー中に話した内容で、今でも鮮明に覚えていることがあります。それはこういうものでした。

 “1000分の1秒でも早く氷の上を進むためには前方から来る風の抵抗を極限まで少なくすること。そのためには出来る限り自分の身体を小さく、低い姿勢を保つことが重要です。そのために極限の前傾姿勢を支える強靭な下半身を作ること。ただそこに行き着くと自分の太ももがお腹に当たる。足をお腹の中にしまうことが出来ればもっと低く小さくなれる。しかしそれにはお腹の内臓が邪魔だ…それならば内臓を動かして移動させれば足を納めるスペースが出来るはず”

 こういうことを真顔で話す彼の姿を見たときは本当にびっくりしました。医療という分野に携っている自分ですが、「本当にそんなことが出来るのか…」と真剣に考えてしまいました。しかし未だにそれは解りません。でも彼が言うと「もしかしたら…」なんて思ってしまうオーラが確実にありますね。確かにアスリートには自分という世界の中に、ある独特の感覚というかフィーリングみたいなものがあるようです。例えば野球のピッチャーで、身体はとても重く感じるのに今日はやけに指先のかかりが良く球が走るとか、ゴルフのドライバーショットで、いつもと変わらず振っているのにやけに振り抜きがスムーズだとか…スポーツをされる方なら他の競技でも似たような感覚を感じたことがあるのではないでしょうか。


 我々鍼灸師も治療時に自分が感じる感覚というものを大切にし、それを治療の中にフィードバックさせることがよくあります。(少なくても私はそうなのですが)
 教科書に載っている治療理論や鍼を打つ時に、定義された“つぼ”だけを使うのではなく、あえてそれ以外の場所を使ったり、ここは…と感じた箇所にアプローチすることもあります。「何故そこを?」と聞かれると正直、理論付けて説明できないようなケースもあります。しかし、意外にもそういったものが想像以上の効果を出したりすることが数多くあるものですから本当に人の身体というのは不思議で神秘的だなと感じてしまいます。
 清水選手が話した内容も本当の真意を図り知ることは出来ませんが、もしかしたらそれは彼にしか感じることの出来ない、彼独特の世界観なのかも知れませんね。

 ここ数年、清水選手も不調が続いていて周りが期待するようなパフォーマンスを発揮することが出来ていません。我々は(私はですね)どうしても過剰な期待をかけてしまいがちですが、思い通りにならないその歯がゆさこそ彼自身が一番感じていることは云うまでもありません。清水選手には、一ファンとしてそれがどのような結果になろうとも自分の信念を貫き通して悔いのない戦いをして欲しいと思います。でも彼ならもしかしたら…とか、本番で一発やってくれそうな期待感を抱かせる、彼はそういう雰囲気を持った数少ない選手で、それこそが真のアスリート、スーパースターなんだなと私は勝手に思っています。
清水宏保がんばれ!私は真剣に応援します。おそらく周りが引いてしまうほどに…

 今回のオリンピックを目前に残念なニュースも一つありました。2012年のロンドン五輪で野球とソフトボールが競技から除外されることが決まりました。特に野球好きの私としては、日本のトッププロが集まって日の丸を背負い真剣に戦う姿を見る機会はめったにないものですから本当に残念でなりません。
ソフトボールも以前アスレチックトレーナーとして、オリンピック日本代表を数多く輩出しているソフトの実業団チームを見ていた時期があったので、彼女たちの気持ちを考えると本当に気の毒です。
是非とも2016年には2つの競技がオリンピックに復活することを願っています。

 それでは世界トップレベルのアスリート達の戦いに胸を熱くし、そして日本選手の活躍に大いに期待しましょう。私も毎日楽しみながらに精一杯応援したいと思います。そして「いつかトリノに行ってみたいなぁ…美味しいものを食べに!」なんて思っています。

 皆様も寝不足にならないよう、くれぐれもご注意くださいね。私も翌日の診療に支障が出ないよう、程ほどにしなければ…と思っています。
平成18年 2月11日
仁鍼灸治療院 院長 石岡俊祐
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