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鍼灸治療を説明するにあたって、まず経穴(つぼ)とは何なのか、さらに経絡【けいらく】との関係について説明する必要があります。
東洋医学では、人間の身体の中には、身体の機能を絶えず正常に保つためのエネルギー(気)が循環していると考えられています。このエネルギーの循環する通り道は経絡と呼ばれており、人体中をくまなく巡り、常に身体のすみずみまでエネルギーを送り届けているとされています。
経絡には、人間が生命を維持していくうえで重要な六臓六腑【ろくぞうろっぷ】に通ずる十二の経絡(正経十二経【せいけいじゅうにけい】)と、そのほかに身体の中心線を通る任脈【にんみゃく】と督脈【とくみゃく】という二つの経絡があり、総称してこれを正経十四経【せいけいじゅうよんけい】と呼んでいます。それぞれの経絡は過不足なくエネルギーを全身に供給するための通路として特に重要視されています。
※東洋医学では人体構造が「六(五)臓六腑」といわれる臓腑論が一般的です。「六臓」とは肺、脾、心、腎、心包、肝で、「六腑」とは大腸、胃、小腸、膀胱、三焦、胆をいいます。
※正経十二経はエネルギーを循環させる役割を果たしていますが、他にもそれらを調節する補助的な役割をもつ八つの経絡があります。これを奇経八脈【きけいはちみゃく】といい、「任脈」「督脈」「陽矯脈【ようきょうみゃく】」「陰矯脈【いんきょうみゃく】」「陽維脈【よういみゃく】」「陰維脈【いんいみゃく】」「帯脈【たいみゃく】」「衝脈【しょうみゃく】」の八つを指します。
※経穴と経絡は、いうなれば電車の駅(つぼ)と路線(経絡)の関係に似ています。一つの決まりを持った線路上(経絡)に駅(つぼ)が点在し、ある駅では他の路線と連絡しあうといった具合です。(「経」は縦の流れを、「絡」は横の流れを意味します)
経穴とは古代中国医学の長い歴史の中で経験的に体系付けられて来たもので、内臓や身体の各器官、その他組織の病変や変化を、経絡を介し反映する点として存在しています。
前述したように、経絡はその流れにより、ある法則をもって全身を連絡しています。
例えば腰の痛みに対して足のつぼを使ったり、胃腸の調子が悪いときに同じく足や手のつぼを使うことがあります。一見、無関係に思える患部から遠隔のつぼが有効なのは、これらのつぼが経絡上では密接な関係を持っているためです。人間の身体には、こうしたつぼが三百六十以上も点在しているといわれています。
鍼灸において経穴は治療点であると共に重要な診断点でもあります。(内臓の病変が体表面に反応点として反映される=内臓体表反射【ないぞうたいひょうはんしゃ】、筋肉の状態を反映する=筋緊張、こり、硬結など)
東洋医学、特に経穴の概念は実証に欠けていると云われがちですが、後の数々の研究により解剖学を大変重視していた事が明らかにされて来ました。例えば、腹部には募穴【ぼけつ】、背部には兪穴【ゆけつ】と呼ばれる内臓の解剖学的部位を表す経穴があります。これらは体表面のどの部分と臓腑の機能がどのように関係しているのか、またつぼ同士がどのように関わり合っているのかを体験的にまとめた理論「臓腑経絡による経穴理論」が基本となっています。
運動器学的にみても、関節周囲の経穴は筋肉の起始部(始まり)や停止部(終わり)に多く存在しますし、この他、神経や神経節上にも数多く経穴は存在し、実証に基づいている部分も強く感じられます。
つぼ療法はこれらの理論にのっとって様々な治療を進め、その効果を臨床例として確立してきた訳です。
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